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2018年08月17日

配信Newリリース情報 「Hiroki Trio 1996 / 廣木光一, 飯田雅春, 羽生一子」

来月、ぼくが26歳の頃の演奏が収録されたミニアルバム『Hiroki Trio 1996』が配信限定リリースされます!

1996年、廣木光一(g) 飯田雅春(b) 羽生一子(ds) のトリオによる演奏、未発表マスターCD発見により、この度四曲のミニアルバム『Hiroki Trio 1996』として、2018年9月12日配信限定リリース!!

「Hiroki Trio 1996 / 廣木光一, 飯田雅春, 羽生一子」 (BIYUYA-009)

アルバム紹介>>

 5リズム3ホーンの”廣木光一バンド”によるアルバム『Love Will Out/90年』を発表の後、廣木は、よりギターをフィーチャーした、かつ緊密なアンサンブルを求め、トリオ(g, b, ds)を中心に演奏するようになった。その後95年にはガットギターでのソロ演奏が多くなり、その転換期に於ける本録音だったが、リリースはされなかった。

 1996年、廣木光一(g)40歳、羽生一子(ds)33歳、飯田雅春(b)26歳の演奏

 今回、hirokimusicで見つかった三枚のCDに、ラフミックスされたこのトリオの演奏が残っていた。ギタリストでありながら、常にギターではなくオーケストラサウンドが鳴っているという廣木らしいレパートリーには、チャールズ・ミンガス、ギル・エバンス、ランディ・ウェストンなどの楽曲が多かった。その中からオリジナル1曲を含む4曲をチョイスし、本アルバムのベーシストでもある飯田雅春のマスタリングにより整音され、配信限定アルバムの発表に至った。

 崖っぷちに留まるかようなバネのあるドラミングを聴かせる羽生一子、参加まもなくも独自の解釈と方法でリズムとメロディに彩りを添えたベーシスト飯田雅春、二人の自由奔放な演奏にも影響され、ギターの新たな可能性を示唆するプレイを聴かせる廣木、珍しく全曲ギブソン・レスポールを使っている。

演奏曲目>>

1:Goodbye Pork Pie Hat (Charles Mingus)
『Mingus AH UM/Charles Mingus』での美しき名演も知られるところだが、廣木は”Gil Evans Orchestra”の影響も受け、自らのアイディアも含めたアレンジにしている。

2:Hi Fly (Randy Weston)
”Randy Weston Orchestra”の人種の坩堝のような演奏、ミンガスバンドで活躍したピアニストJaki Byardがアルバムタイトルにもした同曲の演奏、これらの延長線上にトリオのサウンドがあるようだ。

3:Sunset Landscapes (HIROKI Koichi)
廣木光一20歳の時の作品。ライブでは演奏されてきたが、今回が録音初公開。タイトルは当時良く来場したお客さんが付けてくれたそう。

4:Las Vegas Tango (Gil Evans)
テーマ部分では"Gil Evans Orchestra"での管楽器のハーモニーをギター一本に置き換えている。自由な展開ができたのもギルという存在のお蔭だと廣木は云う。

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配信先:
iTunes, AppleMusic, Spotify, Amazon, レコチョク etc
ほか主要配信サイト
※配信先ではリリース開始日より表示されます

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2018年08月14日

音楽がもたらすもの

先日、ライブでとあるぼくのオリジナル曲を演奏した。
その時、それを聴いたリスナーの方からの感想がとても嬉しくて、ちょっと考えたこともあったので書いておく。

昨年8月6日に開催されるライブがあり、その日のために、自分なりの祈りの曲を作った。
もちろん広島原爆忌を意識したものだ。
歌詞はなく、ゆったりとしたいくつかのモチーフと、抽象的な即興演奏からなる楽曲。
コントラバスの指板と弦の間に木片をはさんでプリペアドにしてスティックで音を出したりもするし、トーナルセンターはEで一定だけれど、長調と短調が混在していて、一般的な感覚では「なんだか不思議な曲」という感じだろうか。
先日のライブでは、MCで曲の説明をすることもなくおもむろに演奏した。
その感想とはこういうものだ。
「祈りの曲だとは聞いたけれど、自分にはカトマンズの風景が浮かんだ。かつて、小さなセスナに乗って上空から見下ろしたその壮大な風景を」
演奏や楽曲をそのように聴いてもらえるのはとても嬉しい。
そのリスナーの方はその曲を通じて、ご自身の内面にある何か鉱脈のようなところにふれたのかもしれない。普段は外面化されない記憶や感情が大切にしまわれている、そんな場所だ。
音楽は時に人をそういったところに連れて行ってくれる。
そしてそこから戻ってきた時には、その前よりはほんの少しだけれど世界がよりよいものになっている。

祈りは通じているのだ。

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2018年08月08日

コントラバスの空輸(国内線)

先日、コントラバスを飛行機に預けるためにコンテナに入れる作業を動画に撮ってSNSにアップしたら意外とたくさんの反響があった。
ぼくにとってはある意味日常的な作業だし、そんな情報はベーシスト以外には全く役に立たないトリビアルな話だと思っていたから驚いた。
少ないかもしれないが必要としている人はいるだろうし、案外ベーシスト以外にも「へぇー!」と思っていただける情報のようなのでブログに書いておこうと思った次第である。

コントラバスを飛行機で運ぶには、大きく分けて二通りの方法がある。
ひとつは機内持込。
特別旅客料金(AB券ともいう)で、座席を荷物用に使用するためのチケットを購入する。コントラバスの場合、4席分必要となる。JALの場合で1席あたり¥11,300(2018年8月現在)なので、合計4万5千円ほどの費用がかかる。往復で9万円。あまり現実的な選択肢ではないと思うが、どうして預けたくない場合などには使うことができる。
ぼくは一度だけ、予約しておいたハードケース(後述)が航空会社側の手違いで手配されておらず、たまたま空席もあって、この方法で運んだことがある。原因が航空会社側だったので費用はもちろん請求されなかった。(↓写真:なんだか、機内でちょっと自慢気な気持ちになった。)
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そしてもう一つが件の、ハードケースでの輸送である。
航空会社が所有している大型楽器用のハードケースを予約して借り、それに収納して預けることができる。ただし、コントラバスを収納出来るケースを持っているのは、JALとANAのみ。LCCなどその他の航空会社では不可能。
ケース自体は無料で借りられる。(ちなみにギターなどの小型楽器のケースも無料で借りられる)
重量に応じた超過手荷物料金が必要で、以前はJAL、ANAともにケースを含んだ重量で課金された。
軽量化される前のケースでJALで預けた場合、大体1万円くらいの超過手荷物料金が必要な事が多かった。
でさらにその超過料金が、時と場合によって請求されたりされなかったりするものだから、空港のカウンターで交渉するようなことも多く面倒だった。

それが、2011年くらいからだったろうか、JALのコントラバス用ケースが軽量化され、さらに、ケースを含まない楽器本体の重量のみで計算されるようになり、基本的には、コントラバスの空輸が事実上無料となったのだ。
ハードケースが軽量化されたのはJALのみで、ANAは未確認。それ以来、ぼくは楽器を運ぶ際に原則JALばかり利用するようになったので、ANAで超過料金がどのように算出されるかは不明である。2014年にANAで空輸した時には特に費用はかからなかったような気がする。(定かではないのでお確かめください)
ちなみに、ギターの小型ケースはJALでは予約出来ず、ANAでは予約出来る。
(↓青いのはANAのケース)
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(↓JALの軽量化されたケース)
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ケースの予約は飛行機のチケットをとった上で電話で行う。搭乗日の4日前までに、となっているが、ケースの数には限りがあるので早めに予約するが吉。最初は、ケースに入るかどうかの確認のため楽器のサイズを聞かれる。大概の楽器は入ると思うが、Cエクステンションのついた楽器はもしかすると入らないかもしれない。
各航空会社、4〜5台くらいのケースを全国で使い回しているので、航空会社側でやりくりの段取りをし、手配が出来たら電話が来るという流れが通常。
但し、国内線全ての便で使えるわけではなく、大型ジェットのみのようだ。
飛行機のサイズが小さい場合やプロペラ機などの場合運搬は不可能となる。
過去の経験では、鹿児島〜屋久島の便では運べなかったことがある。(その時はエレキベースにした。)

当日はフライトの1時間くらい前までにチェックインをすませる。大体職員さんがケースを持ってきてくれるか、ケースを置いてあるところに案内してくれる。楽器のセキュリティチェックを済ませてからケースに収納する。
巨大な棺桶のようなケースを開けると大量のプチプチ(緩衝材)が入っているので、一旦取り出して、楽器を横たえ、緩衝材を適宜詰め、ベルトをして、ケースのふたを閉める。
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このふたを閉める時に、手を合わせて拝みたくなるが、不謹慎なのでいつも我慢する。
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あとは、職員さんに任せて運んでもらうだけ。
運搬による楽器の不具合なども心配ではあるが、これまでおそらく100回以上はこの方法で運んでいるが、楽器にダメージを与えられたことは一度もない。もちろん、国内線に限った話だが。

到着地での受け取りは空港によって異なるが、羽田など大きな空港では、手荷物受取所のぐるぐる廻るベルトコンベアの近くに廻らないコンベアがあって、そこから出てくる。それがない空港の場合、職員さんが数名がかりで扉から直接もって入ってくるので、普通の荷物と同じようにタグを見せてケースから取り出す。丁寧に運んでくれた職員さんにきちんと礼を言う。そういった積み重ねは大事だと思う。せっかく気を使って丁寧に取り扱っていても、預けた人間がいつもいつも態度が悪いと、さすがに職員さんだって運び甲斐がないだろう。もちろん向こうは大企業だからそんなこととは無関係に仕事のクオリティを維持する教育を受けているとは思うが、ユーザー側はそれに甘えてはいけないと思う。
話がそれた。

無事楽器を受け取ったらもう安心。とはいかない。
「ベーシストにとって仕事の68%が運搬」と言われるように、ここからさらに次の移動が始まる。ぼくの場合、大体は楽器とトランク、そしてリュックをしょって、電車での移動が多い(車の時は楽です)。そうして目的地までたどり着いて、ようやくベースの運搬が終わり、やっと演奏、というわけ。

*以下リンクは2018年8月8日現在
JAL「楽器とお出かけサービス」

ANA 楽器の扱いについて

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